犬とのよりそイズム

真珠葬『虹の守珠』〜その3〜

☆「真珠葬」サイトオープンしました
http://www.shinjusou.jp

2018年12月、フーラを抱いたアコヤ母さんは
いよいよ沖へ出ました。
養生するための場所から、
もっと栄養を取ることができる沖へ移動しました。

まるで子供を宿したお母さんが、
安定するまでは安静にして、
安定期が過ぎたら動き始めるような、
そんな感じに似ていますね。

お父さんの手によって
沖に移されるフーラのお骨を抱いた
アコヤ母さんたち

沖といっても湾の中ですが、
シケの時は結構波が立ち、小舟が揺れます
名札と可愛いブイもつけてもらいました

また会いに来るからね♡

海は生きていますので、
仕掛けてあるロープや貝を入れたネット、
アコヤ貝自身に、貝や藻などいろんな生物がつきます

アコヤ貝の成長を妨げることになるので
こまめに掃除をしてやる必要があります
それを多賀真珠のみなさんが、
定期的に掃除をしてくれるのですが

一年後に予定されている浜上げ
(※お骨を抱いたアコヤ母さんを陸に上げ、
真珠となったお骨を取り出す作業)
の前に、ぜひ、お掃除の手伝いをしに
会いにいきたいと思っています。

 真珠葬が誕生するまでの道のりは
簡単なものではありませんでした
発端は、私の友人である増田さんが
「和製アコヤ貝で、日本一大きな
真珠を作る人に会ってみないか」
と言われたことに始まります

増田さんは真珠が好きだったこともあり
日本一大きな真珠を作る人、清水氏に会いに、
五島列島、奈留島に行きました

気軽に奈留島に行く、と言いますが
奈留島は本土から直接行かれる交通手段がない二次離島です
まずは本土から福江島に行ってから
そこから船での移動になります。

最初に増田さんが奈留島に行った時
LINEで報告があったのですが
かなり大変な旅になっていたことを思い出します

増田さん大丈夫か!?
行かれるのか?
戻って来られるのか!?
という感じでした。

私も2回ほど行きましたが、
どちらも決してスムーズな移動ができたわけではなく
初回は、羽田から長崎に飛んで
そこから福江島に飛ぶはずだった飛行機が
天候の影響で飛ばないと言われました
こんな飛行機に乗ります

幸い、次の便は大丈夫でなんとか福江島降りることができた
という経験があります。そこから奈留島へ行くのですが
天候によっては船が欠航することもよくあるそうです。

初めて奈留島に行った時に乗った船
これまた初めての体験でした

清水氏に会いに奈留島に行った増田さんは
そこで長崎大学の松下教授に出会います
松下先生は、ジャックラッセルテリアを亡くしていて
お酒の席で清水氏に

「うちの犬の骨、真珠にできませんか?」

という話をし、清水さんがやってくださることになり
真珠葬の誕生となったのです
その背景には、お二人の

お世話になった奈留島に恩返しがしたい

という気持ちがありました。

しかし、そこからが苦難の道でした
真珠を作るには、
大きな貝を切って削って作った「核」となる玉を
アコヤ貝に入れるという作業をします

名人の神技的な技術を持って
貝に極力負担が少なく、
核をアコヤ貝に入れることができるのですが

その核入れ作業をする道具では
骨をつかむことができない
ではピンセットでつまんで、となりますが
そうなるとどうしても貝の負担が大きくなってしまう

あれこれ何度もいろいろな試行錯誤の結果
特殊な樹脂で骨をコーティングすることに
たどり着きました。

書いてしまうと簡単ですが
並々ならぬ苦労と努力がありました
しかし、ここまであきらめずに来られたのは

清水氏、松下先生の奈留島に恩返しがしたいという思い
それをサポートしたいという増田さんの思い、
松下先生のご愛犬への思い

みんなの真珠への思い

だったのではないかと私は思います

フーラを送り出したかく言う私も
奈留島への思い、海という生命に対する尊敬の念
憧れ、神秘への感動、感謝など
いろいろな思いがめぐります

骨を加工する特殊な樹脂は
貝に害がないことはもちろん
海に落ちてしまったとしても
海を汚すことはなく
魚が食べてしまっても害はないものとなっています

貝の負担が少ない形
いろいろな形をした骨を
角がないように丸めにコーティングしたものを
アコヤ貝に入れるのですが

それを核として入れることができるのは
清水氏の腕があってこそのことです
そうした、いろいろな人たちを思いが
愛犬の骨を真珠にしてくれる
なんとも、温かくありがたい気持ちになります

アコヤ貝に骨を入れたらそれでいいのか

というと、決してそうではありません!
真珠を作るときでも
入れた核の4割は吐き出されてしまうのです

つまり、10個入れても4個は吐き出してしまう
真珠になるのは6個
それも、綺麗な丸にならないものもたくさんあります
だからこそ、粒が揃った真珠は美しく
そこに価値が生まれます

それが、加工して美しく成形されて輝く宝石と
真珠の違いです
いわば人と貝のコラボレーション
だからこそ石とは違った人肌を感じると思うのは
私だけでしょうか

最初に行ったときは
まだ登録前でした

2018年6月

長崎を中心とした教会群とキリスト教関連遺産は
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」
として世界遺産に登録されました

長崎にある130の教会のうち50が五島列島にあります
奈留島には江上教会があります

たくさんの教会に見守られた五島の海で
フーラは真珠に生まれ変わり
再び私の元へきてくれます

亡くした悲しみは計り知れなく深いものですが
1年経って真珠になって戻ってきてくれることが

なんだかフーラにまた会えるような

そんな気持ちで奈留島の海に思いを馳せる毎日です

〜おまけ〜

飛行機飛ばない
乗り継ぎ悪くて時間つぶし・・
なんて
なんだかんだ言っても
けっこう楽しんでます(*´艸`*)

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nakanishi
Doggy Labo 代表 ナカニシ