もくじ
言ってもいいの?ダメなの?
これについては、いろんな意見があるようです。私も、研修先のシドニーにあるDOGTECH internationalの、ドッグトレーニングアカデミーでも、「行ってきます、ただいま、の挨拶はBig Event(ビッグイベント、大げさなもの)にしないこと!」というルールを教えられました。なので、帰国してからDoggy Labo を立ち上げて、出張レッスンを始めた頃は、飼い主さんにもそうアドバイスをしていました。そのおかげもあって、外出するとき、帰宅したときに大騒ぎされて困る、という問題は改善することが多かったのですが、果たしてそれは正しいのか?と疑問に感じるようになりました。
犬たちは喜んでいる!飼い主は怒る?
我が家の犬たちを見ていても、明らかに喜んでいます。もしかしてごはんの時間を超えて、1日のうちで一番喜ぶ時間なのではないかと思うほどです。飼い主にとってこれほど嬉しいことはないのでは?と思う反面、住宅事情によっては、迷惑がかかってしまうのでやめさせなければならないことも少なくありません。苦情が入るのでは!?と思うと、ヒステリックに叱ってしまう始末。犬たちは最高に喜んでくれているのに、です。彼らにしてみれば、わけわからない!という思いなのではないでしょうか。明らかに、ミスコミュニケーションの代表的なものです。環境が変われば、例えば山の中の一軒家とか、逆に、眠らないまち、繁華街の中の一軒家、もしくはマンションとかだったら、少々犬が吠えても迷惑にならないこともあります。そういう場合、犬たちは叱られず、飼い主も喜ぶ犬たちを叱らなくて済む、思う存分、「おかえり!」「ただいま!」の儀式を執り行うことができるのです。
迷惑なのは犬?住環境?
あるいは、例えば迷惑をかけてしまう一軒家、集合住宅でも、窓を二重にするとか、これは、自分の家だけではく、すべての家がそうなったら、迷惑かけにくくなります。最近はペット可のマンションも増えてきているようですが、そうしたマンションで二重窓になっていたことは、私が伺ってきた範囲ではほぼありませんでした。足を洗う場所、リードを引っ掛けるフックが付いている、などの工夫はありますが、窓が二重にはなってない。廊下の足音が聞こえにくいようにもなっていません。ペット可だというのに、吠える声で苦情がきてしまった、というケースも数件伺ったことがあります。飼い主さんはたいがい ”良い人” で、実際に吠えている様子を観察するのですが、苦情になるほど吠えているとは思えないことがほとんどです。詳しく事情を聞いてみると、吠える声が苦情になってしまったケースの99%は、人災、人間関係によるものと感じざるを得ません。
実はご近所づきあいのモンダイ?
例えば、大都会の一軒家で、右隣の家とは友好なおつきあいをしており、犬が吠える件についても「お互いさま、犬だもの吠えるわよ」という関係ができていても、左隣の家とは、玄関の位置が反対側という理由でおつきあいはなく(どちらかというとあまり良くない)、そちらの家から苦情が入ったというケースがありました。そのお宅の犬たちは、確かによく吠えましたが、小型犬なので、それほど迷惑になるとは思えず。しかし、よく事情を聞いてみると、左隣の方はご病気を患っていて、日中寝ていることが多いのだそうなのです。それはさすがに気に障るだろうと想像がつきます。家で仕事をしている方、昼夜逆転している仕事をしている方、ご近所中の方から、「ちょっと変わった方」と言われている方からの苦情も少なくありません。
二重玄関、二重窓
話が少しずれますが、私の妹は札幌に住んでいて、玄関や窓は基本二重になっています。ほとんどの家がそうかと思います。犬も飼っていますが、吠える声が迷惑かけることはあまりなさそうです。都会の家も、と、犬バカな私は思ってしまいますが、せめてペット可のマンションは、玄関、窓は二重に、壁は通常より防音効果が高いものにしていただけないものでしょうか。
おかえりCRAZY♪
帰宅したときに、愛犬たちが喜んでくれる姿を「おかえりCRAZY♪」を名付けた方がいらっしゃいました。叱ってやめさせるのがかわいそうなので、なんと究極の「よりそイズム」!郊外へ引っ越しされたそうです!私の周りでも、犬種によってや、多頭飼育をしている飼い主さんが、山中湖や軽井沢、鎌倉などの郊外へ引っ越している方が数名いらっしゃいます。住環境のせいで、飼い主の帰宅を喜んでいる犬たちの「吠える」という行動に嫌悪感を感じ、悩んでいる飼い主さん。イラっとしたり、怒りたくなる気持ちはよく理解できますが(自分の環境も迷惑をかけますし、苦情がくる可能性もゼロではありません)果たしてそれはフェアなことなのか、悩ましいところです。
「行ってきます」の声かけはしてはいけない?
そう書いてある「しつけ本」やネットの情報は少なくありません。研修先でもそう教わりました。しかし、どうしても違和感があったことは否めません。今では、声のかけ方によって、OKか、NGか分かれると思っています。例えば、犬を不安にさせてしまうような別れ方、「行ってくるからお利口にしていてね」など、不安そうに声をかける場合、その波動は犬に伝わって、犬も不安になってしまう可能性があります。よく例えられるのが、幼稚園に子供を預けて仕事に行く親の心境があります。あたりまえのように「楽しんでね」と先生に子供を預けて、サクサクと別れるほうが良いのだそうです。モタモタしていると、子供が不安になって泣き出してしまう!ちょっと違いますが、共通している点はあるかと思います。
「行ってくるね!」
私自身は、「行ってくるね」と声をかけるようにしています。犬もわかっているようですし、私もその方が気持ちが良いからです。無言で出かけるのは、なんか心地よくありません。クロノスは、週に一回通院しているのですが、いつもマネージャーが連れて行ってくれます。なので、彼女が外出するときは自分も行くのだと思っているようで、支度を始めると落ち着かず、ヒュンヒュン鳴き出します。
あるとき、別の用事で彼女が事務所兼自宅から外出したとき、クロは留守番だったので当然置いて、特に挨拶も見送りもせずに出て行ってしまったら、さあ大変!キュンキュン鳴き出して、しまいには遠吠えをし始めてしまいました。その声は駐車場にいたマネージャーにしっかりと届いていました。胸が潰れそうになりながら(苦笑)彼女は車を出したそうです。それからは、クロを置いて彼女が外出するときは、「今日はお留守番」だということを二人掛かりでしっかりと、何度も言い聞かせ、玄関でしっかりと、彼女が出てドアが閉まるまで一緒に見送るようにしました。そうしてやると、多少さみしそうな声を出しますが、すぐに落ち着いてソファやいつものベッドの上で眠ってくれるのです。
声をかけてもいい!?
LINE@に登録いただいた方に「愛犬のホンネ理解度無料診断」というチェックシートをプレゼントしているのですが、登録してくださった方からこんなメッセージをいただきました。
「留守番をさせるとき、声をかけてはいけないと思っていました」
若干ネタバレですが(笑)それに対して私は、こうお返事しました。
「出かけるとき、声をかけてもいいと思います(*^^*) 私はかけています。 ただ、大丈夫、心配ないよ!という気持ちを伝えるのがポイントなんだと思います。 安心オーラで包んであげる感じでしょうか」
その方は、出かけるときに声をかけてはいけないという情報を採用していて、出かける気配を察して「く〜ん、く〜ん」と鳴いているのを無視して出かけていたそうです。無視して出かけるのは心が痛んでいたそうで、声をかけてもいいと言われてとても喜んでくださいました。
今日から出かける時に不自然に無視ではなく「行ってくるよ。戻ってきたらまた楽しい時間を過ごそうね」という気持ちで声をかけてみます!
というメッセージをいただきました。そしてそのあと、とっても嬉しいご報告が届きました!許可をいただき、シェアさせていただきます。
「く〜ん、く〜ん」言わなくなった!
「『行ってきます』の声がけをしたところ、後追いのく~んく~んがなくなりました!!びっくりです。でも、考えてみれば、今まで楽しく遊んでいたのに突然無視されて、どうしたの?って聞いても何も言われずにいなくなられたら、花だって悲しいですよね。
最近は出かける気配もわかるようです。それで、出かける前におやつとともに「ハウス」と声がけしてケージに入れ、「行ってくるよ。帰ってきたらまた遊ぼうね。それまでは寝ててね」と話してから出るようにしました。まだ数回ですが、全く後追いしていません。心なしか神妙に話を聞いて「わかった」と言っているように見えます
また、最近は夜や疲れた時など「ハウス」と言うと自分で入るようになりました。ケージは閉じ込められるところではなく、ゆっくり休むところになっていっているようです。
オン、オフの切り替えができて、私も家族も花との生活がどんどん楽になっています。
accept & ask
私たちだけでなく、花の方からもacceptしてもらっていると感じます。
これからの生活がますます楽しみになりました。
今朝も、花は後追いをせず、じっと見つめて私を送り出してくれました、後追いされていた頃に比べ、仕事に向かうきもちがぐんと軽くなりました。
これからも色々なことがあると思いますが、人と犬がお互いにacceptできるといいなと思います」
こうしたメッセージをいただくと、本当に嬉しいですし、犬たちのために、飼い主さんたちのために、自分のために!もっともっとがんばろう!って思えます。
ありがとうございます。
「リーダーになれ!」で関係悪化
最初は、「リーダーになれ!」系の本を読んで、それを採用して、花ちゃんとの関係がどんどん悪化、どんどん距離が広がって行くようで困っていたそうです。そんなとき、拙著「犬のモンダイ行動の処方箋」を見つけて読んでくださったところ、「花は花のままでいいんだ」と思えて心がすっと軽くなり、今まで問題だったことも、「花目線で見たら理由があったのね!」と受け入れられるようになったとのこと。そうしたら不思議なことに、今まであったトイレの問題がクリアになり、穏やかな毎日が流れ、ご家族にも笑顔が増えたのだそうです。
「Accept、愛犬を受け入れると幸せになりますよ!」
と言っていますが、実際にこんなふうにお知らせいただけると、自信につながります。どうしてこんなことが起きるのか、その謎がもっと体系的に解けて行くことを実感しています。そのあたりについては、また別の機会に書きます。
花ちゃん、ありがとう♡
※画像はイメージで本文とは関係ありません